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松永文庫は福岡県北九州市門司区にある日本映画と民俗学の私設図書館です。松永武館長が10数年前から自宅を改装し、資料を整理した後の平成9年10月より一般に無料公開しています。
昭和30年代から現在までの日本映画のパンフレットが1000冊、著名監督のシナリオ、映画関係の書籍・スクラップ1500冊のコレクションに加えて、松永館長の父親が収集した民俗学の書籍や資料5000冊あまりが併せて展示されています。
スクラップ作業中の松永館長
「文庫開設は若い頃からの夢でした。文献はみんなに利用されて初めて生かされます。日本映画の素晴しさを多くの人に知ってほしかったからです。」
子どもの頃から体が弱かった松永さんは、学校も休みがちで友達も少なかった。親に連れられて映画館通いが始まり、しだいに映画にのめりこんでいった。民俗学の研究に没頭し家庭を省みなかった父親の代わりが映画だったと当時を振り返る。自分で書いたシナリオが著名な監督の目にとまり、映画界入りを目指したこともあったが、その監督の死で結局夢は叶わなかったという。
そんな松永さんは、日本映画ならジャンルにこだわらず何でも観るそうだ。
「好きな作品ですか。しいて挙げるとすれば、小栗康平監督の『泥の河』。伊藤大輔監督の『下郎の首』。黒沢明監督の『生きる』あたりでしょうか」
いずれも人間の生き様を内面からしっかりととらえた作品で、ご本人のまじめな人柄が感じられた。
「これからの夢は、映画が本当に好きな人々が集まって邦画、洋画を問わず上映できる場所を作りたいんです」
かつて、娯楽の王様だった映画。あの頃には戻れないが、1000冊のパンフレットが松永さんのそんな夢を支えている。
「クリム」1998年2月号
「特集 映画好きの映画の話」より抜粋転載
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