■HOLGAとピンホールと私

 魚住耕司
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 そのカメラのことを知ったのは、4年ほど前だったと思う。知人
 から、「おもちゃカメラでワークショップをしたい」から会場の
 提供等で協力してほしい、という問い合わせからだった。

 当時、私はペーペーの郵便局員ながら職場(局)がもっているギ
 ャラリールームを事実上預かっている状態であり、「単に依頼さ
 れて会場を貸す以上の、展示の企画の段階から参加して作者と一
 緒に作ってみたい」という希望をもっていたので、この話は願っ
 てもない機会だった。

 その時知ったカメラが、HOLGAだった。

 手にしてみると、なるほどこれはおもちゃだ、と思った。確かに
 シャッターは切れる。もっともスピードは固定だが。絞りも二段
 階もある。しかも円形絞りで。もっとも真ん中をくりぬいた黒板
 を一枚光軸上に落とすか否かというだけのものだが。

 ピント調節もできる。もっともプラスチックのレンズ枠に人とか
 山とかの絵が描いているあれだ。レンズだって色消しだ(そうで
 はない光学機器など聞いたことがないが)。もっとも素材はプラ
 スチックである。

 およそ期待はせずにとりあえず撮影してみたのだが、これがなか
 なか侮れないカメラであった。

 何しろ、現在のフィルムは恐ろしく性能がよい。少々の露出オー
 バー・アンダーは飲み込んで破綻させずに絵を作ってくれる。お
 まけに使用フィルムは広面積のプローニーである。意外とちゃん
 と写る結果が面白く、結構熱中させてくれた。私の買ったカメラ
 は当たりだったらしく、裏蓋からの光線もれに悩まされることも
 皆無だった。

 しかし、ワークショップと展示会が終わると、殆ど使用すること
 なく、忘れてしまった。理由としては、使用フィルムがブローニ
 ーという点でデジタル化しにくかったという事が大きかった。当
 時は、プローニーフィルム読み込み可能なフラッドヘッド式のス
 キャナーはなお高額だったし、フォトCDの作成が当時の私のデー
 タ化の主流だったから、作業ラインから完全に浮いていたのだ。

 HOLGAを忘れ去り、実家の棚のかざりとしてしまい数年。先日、
 懐かしい知人から連絡をもらった。「ピンホール写真のワークシ
 ョップをやりたいが、会場はないだろうか」と。

 相談をうけて正直困った。徒手空拳の私なんかが紹介できるとこ
 ろや、お願いしたら耳を傾けて親身に相談に乗ってくれる先なん
 て、私が住むこの門司港という街にはまずない。

 職場のギャラリールームについても、私が信じてもらえているこ
 とを確信できたあの頃とは違う。そして、おそらく私が動くとト
 ラブルメーカーとなって周囲とは軋轢が生まれるし、迷惑がられ
 ることは想像できた。

 そして、成功してもおそらくは何の評価もされないことも。それ
 やこれやに作品の著作権を守ってみせるという当たり前のことも
 含めて、恥ずかしながら責任をもって他人様の作品を預りましょ
 う、と請合う自信がもてなかった。

 困ってばかりもいられないので、恥は掻き捨て、と覚悟して、駄
 目もとで隣町の大店の旦那さんへ泣き付いたところ、殆ど二つ返
 事で店の二階で商店街の旦那衆が会議などに使っていたオフィス
 用途のスペースを提供すると返事が。うれしいですよね。殆ど心
 の中で手を合わせたい思いでした(縁起でもないか^^;)

 そういう次第で何とか会場を確保でき、第二回の「針穴写真塾」
 に参加することに(第一回は参加していないので知らない)。そ
 こでハタ、と困ったのが、カメラである。私は、ピンホールカメ
 ラなんてもっていないのである。

 しかし、スタッフ側に潜り込んでおいて、今まで撮ったことあり
 ませんでは通らない。第一、折角誘ってもらったのに展示する作
 品がないではカッコがつかない。そこで、教材としてポラロイド
 に提供して貰うカメラを一足先に自分で手に入れることにした。

 が、ネットの注文というモノは届くまでに時に思わぬ時間がかか
 る。それで「要するに、針であけた穴をレンズ代わりにすればよ
 いのだ」と超が付く大雑把な考えで、愛機のミノルタDiMAGE 7i
 のレンズキャップを焼いた針で突いてみた。

 結果は視野の欠けたデジカメになっただけであった。少し考えて
 みれば、レンズがついていて針穴写真機になる訳がない。後にそ
 の話を主催の花野氏にすると絶句した感じで、言葉を選びながら
 「それは、無理じゃないですか? いや、先日デジタルの針穴で、
 と聞いた時に、はて何時デジタル一眼を買われたのか、と不思議
 だったんですけど・・・」と言われてしまった。

 主催者としては、正直とんでもないバチモンをスタッフに迎えて
 しまったのではないか、と相当な危惧と後悔をされたのではない
 か思う。(つづく)

 魚住耕司

 ・HOLGAと出会ったイベント「おもちゃでアート」
 <http://www10.bird.to/~session/session_toyart/indexx.htm>

 ・殆ど二つ返事で助けてくれた隣町の大店
 <http://www.tsujiri.co.jp/>

 ・第二回の針穴写真塾関係はこちらからどうぞ
 <http://mojiko.com/UOZUMI/wppd2003/>

 ・第三回の針穴写真塾のご案内
 <http://www.art-photo.com/wppd/ws3/ws31.html>