ご報告します。

 

平成9年七月二十三日夕刻、MS(株)デスクトップ製品統括部Office/Accessプロダクトマネージャー担当課長である「能祖裕樹」氏と北九州市小倉北区のリーガロイヤルホテル内でお会いし、今回のコンテストについての謝罪、及び事情説明うけ、新しい「承諾書」を提示頂きました。

以下は、その承諾書の文面です。

「 私 (以下、「受賞者」という。) は、マイクロソフト・ホームページ制作オリジナルコンテストに応募し、受賞しました。つきましては、私は本書により、貴社が受賞作品日 (以下 「本作品」という。)紹介のため、これをWebサイト、CDROM、雑誌等のメディアに掲載して使用することのできる、使用料支払いを要しない、非独占的権利を許諾します。かかる使用にあたり、貴社は (1)本作品の著作権者としての私の氏名および (2)無断複製禁止の注意書きを表示するものとします。本作品日の改変による利用、本作品の制作に使用した画像、音楽等の素材 (以下 [素材」という。) の個別利用および本作品を貴社の商品として利用する場合については、別途の契約書の締結を要するものとします。

なお、本作品および素材に関する権利関係は添付の 「オリジナリティーの保証書」記載のとおりであり、第三者の著作権を侵害するものではないことを誓約いたします。 」

 

受賞作品の紹介の為メディアへの掲載、という「使用の目的と範囲の明確化」、著作者名の表示、無断複製禁止の但し書き添付、改変、及び素材の個別利用及び受賞作品の商用の利用に別途契約の必要な事の明記、私の求めていた点は盛り込んで頂いておりますし、「ここに書いていない事については、MS社は権利を持っていない」と明言された上で、この条件で至らない点はご指摘頂けば訂正する、とも発言をされました。

また、他の受賞者が提出している譲渡承諾を返却し、改めて同じ承諾書を書いてもらう事を求める、拒否された場合でも受賞自体を取り消さない、譲渡承諾を頂いた権利は放棄する、とも明言されました。

対応が「後手後手」になった事を「大変恥ずかしい」と率直に言われておりましたし、今回の事をクールに解決する事が、MS社が「ネット上での著作権の保護」に一定のスタンスを取られる様になる良いきっかけになれば、と切望しますので、私は、自身の件に関しては、この要望をそのまま受け入れてサインし、受賞を受けよう、と思います。もし、これに追加する事があれば、「次回からは、さらにこの様にした方がよい」というアドバイスの形をとりたい、と思います。 

 

私は、辞退したときに、「MSが悪い先例を作る事になる」と危惧しました。急速に発展してきたネットの上での著作権の在り方の問題は、明確なルールが確立されておらず、ネットワーカー達が手探りで作り上げようとしている最中です。良くもなれば、悪くもなります。今回、MS社が受賞者全員に対して譲渡を求めた事を撤回し、改めて使用の承諾を求めるなどの対応を決めた事は、一企業の勇気ある決断であると共に、ネットにおける著作権の在り方について、後世が参考にする先例を作ったものでもある、と思います。

 昨今、我が国では、無理を通し続けて行き着く所まで行き、どうにもならなくなり破綻してしまう、という組織の姿ばかりを眼にしてきた様に思います。それを思うならば、今回MS社が自らの姿勢を豹変させた事は、賞賛に値する、と思います。

今回の事では、お読み頂いた皆様にもご心配を頂きました。誠にありがとうございました。 

今回の事で思ったのですが、MS社は、「うるさい相手は、例外的にこっそり優遇して穏便にすます」という従来何処でも行われていた方法を取らず、コンテストの要項自体を変更する決断をしました。これは、「Web」という個人がマスコミになる「メディア」が成立した事が、その様な取り繕って言えば「個別的対応」、悪く言えば「裏取り引き」をできなくした、という事かもしれません。

我が国の「組織」で、その様な基調の変化を読み取っているところがどれだけあるでしょうか…。

その事を考えるなら、MS社の今回の対応は、一つのエポックメーキングなのかもしれません。

 

7/23日当日に書き込もうと思ったのですが、事情があって、少し間を置きました。 

7/25日毎日新聞夕刊の記事

「承諾書」文面

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